日本若者協議会主催 第二回勉強会 報告記事
日本若者協議会は、昨年から各政党との政策協議、政策提言を行ってきましが、今後さらに若者の声を政策に反映できるよう、政策提言の質向上、また、継続的に政策などについて議論できる場所として毎月勉強会を開催していきたいと考えています。
9月24日に開催された第一回勉強会ではロビイングの基礎を学び、より実践的なロビイングの技術を学ぶべく、10月23日に第二回勉強会を開催させていただきました。
講師として、「誰でもできるロビイング入門〜社会を変える技術〜」の著者で、認定NPO法人フローレンスに所属し、「子ども」「女性」「マイノリティ」の権利擁護や政策提言を行ってきた明智カイト様をお招きして、実践的なロビイングについてご指導を頂きました。
≪第二回勉強会≫
【講師】
明智カイト様 認定NPO法人フローレンス職員
【スケジュール】
16:30 開場
17:00 開会挨拶
17:10 講師による講演(前回復習)
17:30 ワークショップ
19:20 各グループ発表&講評
19:55 閉会挨拶
20:00〜 懇親会
【講演内容】
・『「ロビイング」と「アドボカシー」とは』
ロビイングとは特定の意見を持った人や団体が政策に対して影響を与えるために行う活動のことで、主に政治家や公務員に対して行われます。これに対してアドボカシーとは「政策提言」や「権利擁護」という意味で使われ、ロビイングだけでなく世論やメディアに対する活動を含む、より広い活動のことです。
これまでLGBTのキャンペーンや国際連帯税導入のキャンペーンなどで何度もロビイングを行ってきましたが、ロビイングだけで法整備を進めていくのは難しいことを感じました。そのため、ロビイングとメディアの広告戦略を結びつけた「アドボカシー」を行っていかなければなりません。
・『ロビイングの現状』
現在主にロビイングを行っているのは大きな力を持った圧力団体です。彼らは組織内から議員を輩出するなど非常に強い影響力を持っていて、世論喚起を行わなくても多くの票を得ることが出来ます。ですが、このような大きな集票力や組織力がないNPOやNGOは、集票力の代わりにアドボカシーを行って世論を喚起することで政治を動かしていくことが必要です。
・『アドボカシーのコツ』
ではどのようにしてアドボカシーで世論を喚起していけばいいのでしょうか。それにはいくつかのコツがあります。
①まず「セクハラ」のようなわかりやすい概念を作り出して、多くの人が抱えていた潜在的な不満を可視化します。これによって多くの人にこの問題を知ってもらうきっかけになります。
②次に当事者に対して調査を行ってデータを取り、報告書などにまとめます。これにより、これまで「個人問題」と思われていたものを「社会問題化」することが出来ます。
③そのデータを基に議員の方々を集って議連を作り、議員立法の土台とします。議連を作ることはメディアに取り上げてもらえるという利点もあります。
また、自分の情報を発信するメディアを持ち、多くの人に自分の活動を知ってもらうことで一人前の活動家として認めてもらうことで、活動を円滑に進める役に立つでしょう。これらの活動は当事者だけではなく、弁護士や統計の専門家など様々な分野のエキスパートを仲間に増やして協力を得ながら進めていくことが重要です。
【ワークショップ内容&講評】
ワークショップでは、3つのチームに分かれて「若者の声を政治に届ける為の協議会(若者協議会)を議員立法で作る為にはどのようなアドボカシーを行っていけばいいか」という題で、具体的にどの時期にどのような人や団体を対象にしてロビイングを行っていくかの戦略をチームごとに考え、明智様にアドバイスと発表の講評をして頂きました。
〈1チーム内容〉
まず、「金持ち老人、貧乏若者」といったキャッチーな概念を作り、シルバーデモクラシーに関するアンケート調査を基に若者からの意見を集約した白書を作成する。その白書を議員や官公庁へ陳情として提出すると共に、世論喚起のためのイベントを開催する。既存の団体と連携しながら、メディアやSNSなども利用して効果的な世論喚起を行う。
その後、議員や有識者と共に勉強会を行い、政策をブラッシュアップする。勉強会の内容から各党に持ち帰り調整を行ってもらった後、成立を目指す。
〈講評〉
議員への陳情のタイミングをもっと早めたほうがいいかもしれません。また、概念を作った際にメディアへの働きかけをすると、より効果的に世論を盛り上げることが出来ます。
〈2チーム内容〉
提言書を早めに作って、各党の若い議員さんを中心に長いスパンで提言を行う。過労死やブラック企業などの身近で一般の人でも参加しやすいシンポジウムをきっかけに、若者協議会にも関心を持ってもらい、会員数を増やす。多くの賛同者と超党派の議連で大きな発言力を持って、法案の成立を目指す。
〈講評〉
圧力団体のような流れですね。もう少しアドボカシーの観点を加えると更にスムーズに進められると思います。
〈3チーム内容〉
まず、若者のための議連に協力してくれそうな政治家をリストアップして、若者政策のための議連を作る。同時に、給付型奨学金や非選挙年齡引き下げのシンポジウムを行って世論に働きかけ法案を成立させることで、自分たちのブランディングを行う。
その後、若者政策が行われていないことによって国際競争力が落ちているということを示すための資料を作成し、世論換気を行う。
これらの活動の成果を基に若者協議会への関心を高め、法案の成立を目指す。
〈講評〉
新規に若者協議会を作るのには時間がかかるので、既存の委員会や協議会に若者の代表を入れてもらうような活動を行って、委員会内での発言力を高めるという方法もあります。
〈全体講評〉
メディアをどのようにして呼び込んでいくかの戦略を考えたほうがいいと思いますね。あと、日本若者協議会という団体をどうブランディングして世の中のどこに位置づけていくかの議論をしたほうがいいですね。
イベント報告は以上になります。