【報告記事】11/24(木)日本若者協議会主催 公開シンポジウム「奨学金のあり方を問う~来るべき高等教育のあり方とは~」

今まで政策提言、シンポジウム等で実現に向けて働きかけてきた給付型奨学金が先日国会で成立しました。

そこで今回は、昨年11/24(木)に開催した奨学金シンポジウムの模様を中心に新しく始まる奨学金制度について紹介します。

パネリストには主要5政党の国会議員と、専門家として中央大学文学部教授 山田昌弘氏、コーディネーターとして日本若者協議会代表理事 室橋祐貴、そして若者から3名の計10名で行われました。

 

まずは山田先生の問題提起から始まりました。

 

--山田教授

本日、若者の恋愛離れということでTV番組に生出演しますが、これは、奨学金と全く関係ない話ではない。例えば、今付き合っている彼女と自分が奨学金を借りているが、もし結婚したら、2人で奨学金を返さないといけないので目途がつくまで待っているという学生がいる。奨学金問題は少子化にまで結びついているということを理解していただきたい。

また、若者等を⒛年30年研究していますが、20年前の当時の親世代というのは、裕福とは言えないが、学費を払える程度の収入を得ていた。格差社会を広げたのが15年前ですが、当時の子供たちが親となって子供を大学に入れようとなった時に奨学金問題が発生した。

 

朝アルバイトをして学校に行き、その後またアルバイトという生活が続いている

その上で現在も奨学金を借りている学生から議員への切実な訴えがありました。

 

--若者A

奨学金は僕も借りていて、朝アルバイトをして学校に行き、その後またアルバイトをしてそれを週3~5回という生活が続いている。率直な感想として、年収約200万円以下の世帯でないと給付型奨学金を貰えないとなると、対象者になる学生も2%位しかいない確かに第一歩としては大事かもしれないが、もっと引き上げてもいいのではと思いました。

 

--若者B

私も無利子の奨学金を借りており週5回位バイトしております。兄弟が3人いてそうなってくると家計も苦しくなってきまして、僕も奨学金を借りながら学費を賄っている状況で僕の生活費については3年間貯めながら生活しております。」

「将来の目標、最終的には何年後にどれくらい教育について投資を増やしたいのか考えをお聞きしたいです。

 

それに対し議員の方からは共感の声が上がるもののやはり『財源』という言葉が並びました。

--自民党 左藤議員

自民党は誰1人見捨てない社会の実現ということで貧困家庭の経済環境の改善と大きな目標のなかで子供たちが安心して学業に取り組めるような議論しているところであります。

確かに低いなと言われれば低いと思います。しかし、財源との問題もあります。とりあえず、平成29度の予算執行に回していただいて実行して第一歩の前進だとご理解いただければと思います。

「給付型奨学金、そして有利子から無利子と順番に進め、奨学金は1兆1千億積んでます、それを今順繰りに回しているところですので返していただかないと次の人に行かない訳です。

 

--公明党 富田議員

今左藤先生からお話あったように、確かに少ないと感じられると思いますが、財源が確定していないのですね。財源がない限り、いくら大きなことを言って仕方ないので。

 その上で、給付型奨学金を2万人規模にしようとやっているので、なんとか財源を見つけてですね。国民の期待が大きいのでしっかり取り組んでいきたいと思います。

 

与党の立場としては、財源の問題からまずは無利子奨学金の拡大、所得連動型奨学金制度の導入拡大に取り組み対処していく方針を表明しています。

 

・無利子奨学金については低所得者世帯の生徒に対する成績基準を実質的に廃止するなどして対象を拡大

・所得連動型奨学金は、無利子奨学金利用者に全員が選択できるように広げ、将来的には既卒者や有利子を借りた人も対象にしていく予定

「300万円以下の世帯収入の場合は10年間返済を猶予するといったように返せる時に返していただくという考え方の中でやっていきたい。(自民党 左藤議員)」

「年収144万なら月2千円の返済額の為、先ほど山田先生が仰った結婚できない金額ではないと思います。(公明党 富田議員)」

 

対する野党の立場は

 

--民進党 平野議員 

現在の財政法を改正して、ある時期までは「教育国債」を発行することも手段の一つだと思います。赤字国債を出すことに大変議論はあると思いますが、高等教育の投資を行えば2.5倍のリターンが返ってくるという指標もあります。私は教育に対する投資は最大の公共事業だと思っておりますので、現在の公共事業の建設国債だけというものを打破したいと思っております。

 

--日本共産党 田村議員

300億位の予算規模でいいのかというのは私も全く私も同感で、半数に給付型奨学金2500億という試算を出しました。

最終目標は高等教育も含めた学費の無償化ということになります。卒業した時に借金を作らない為にどうするのかは考えなければならないと思います。

 

--日本維新の会 浦野議員

やはりほとんどの政党も財源の問題だと思います。財源がないと仰いますが、公務員の給与を上げるのには簡単に財源が生まれます。

ただ、私たちは政権を担ったことのない政党ですから、財源の問題というのは簡単な問題ではないのはないと理解はしています。借金がどんどん膨らんでいるのが現状なので、教育に対する予算のために公務員の人件費を削っていきましょうというのが我々に主張です。

議会で過半数を取れることがあれば、すぐに実行します。大阪ではそうしました。

 

--自民党 左藤議員

財源のお話をしますと0歳から5歳まで完全無償化すると消費増税の7000億円プラス1兆1千億の財源が必要になってきます。先ほど、将来のリターンを見越した「教育国債」がいいのではないのかという議論もありました。高卒中退者と専門学校、大学行った人とは生涯賃金が6千万から9千万も違うという試算もあるので、これは発行する意味があるのではと考えてはおります。しかし、教育国債」は国の借金でありますから、国民のご理解をいただけないといけないのかなと思います。

 

教育にかかる社会的費用をどう捉えるか?

会場からの質疑では、教育を社会保障として捉えるなど様々な問題提起から議論が盛り上がりました。

 

--質問1

法科大学院で法曹目指して勉強している大学院生です。私自身も奨学金を借りていまして、契約額が1千万超えています。本日の議論の中で財源のことで頭を悩ませているという話でしたけれども、教育は将来に対して絶対にリターンがあると思うので“クレジット”ではなくて“インベストメント(投資)”なんだという方向に舵を切っていただいて、未来の若者に対して投資を行って欲しいです。

 

--自民党 左藤議員

建設国債と同じように教育国債を作りたいと我々の方でも検討しています。でも、教育投資という言葉が好きではない。人を救ってそして我が国を発展する為に、みんなが頑張るために教育を受けてもらう。そして人間力を上げてもらう。これが投資のためにというのはちょっと概念が違う。

今、仰ったように国債を発行するとなると、法改正の問題もあります、そして国民の理解を得ないといけないですし、財政状況の問題もあります。その辺は諦めていませんが、チャレンジしていこうとしています。

 

--民進党 平野議員

建設国債は発行して、それを資産として国民を共有するというのが財政法で定められておりますので、したがって、人材を育成していくことに国債をあてることには私はいいとは思いますが、積年の長い間の財政法上の慣例によって財務省が首を縦に振らないのが現実の姿ですから、それを破るのはやはり、安倍さんの強い力でやって頂ければ我々民進党も応援する。

 

--公明党 富田議員

1999年に自民党と交渉した際に、自民党の先生から奨学金制度などに熱心だけど子どもにお金配ってどうするの?と言われた。交渉する中でやはり児童手当や奨学金が大事だということになって自民党の先生が大蔵省に知恵を出せと言ってくれた。そこの段階で大蔵省は頑張って財源を出してくれたので、財源を社会保障として考えてもいいのではないかと思います。

 

--日本共産党 田村議員 

社会保障というお話でしたが、基本的人権をどう保障することだと思います。一人一人がいかに自らの力を発揮しながら、社会のなかで生きていくことができるかそのことに対する国の責任が基本的人権の尊重になるという立場で進めていくべきだと思っているところです。

 

--日本維新の会 浦野議員

私も、自民党の左藤先生と近い意見ですが、教育は投資ではないと思います。教育は国家の義務です。義務であるならばもっと守りましょうという立場です。

 

今年に入り教育国債も含め財源についての議論が活発に行われてきています。

今後の議論を私たちも注視していきたいと思っています。

 

【給付型奨学金制度の内容】

・平成29年度は、私立の下宿生を対象に先行実施し、最大で月額4万円が給付されるほか、児童養護施設などから進学する学生に入学時に24万円が支給されることになりました。

平成30年度からは1学年当たり約2万人を対象に本格的に実施されることになり、2万~4万円が給付されることになります。
日本若者協議会 岡部

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